オプション例会No.313

会津駒ケ岳(2,132m)~燧ケ岳(2,356m)~尾瀬~至仏山(2,228m)例会記録

概要

『たおやかな山容と高山植物の宝庫・会津駒ケ岳から東北地方の最高峰「燧ケ岳」を経て日本最大の高層湿原「尾瀬」を巡る山旅』

日時

2020年7月10日(金)~15日(水)

天候

7/11: 曇のち雨、/12: 雨のち曇、/13: 曇、/14: 雨

担当

野原勇、板谷佳史

集合

7/10(金)22:00大阪メトロ東梅田駅地上部・近鉄バス停前(22:25近鉄高速バス東京行き乗車)

行程

7/11(土)東武浅草駅⇒会津高原尾瀬口駅⇒御池~(裏燧林道)~三条の滝~温泉小屋(泊)

7/12(日)温泉小屋~(見晴新道)~燧ケ岳~尾瀬沼ヒュッテ(泊)

7/13(月)尾瀬沼ヒュッテ~尾瀬ヶ原~至仏山莊(泊)

7/14(火)至仏山莊~至仏山~鳩待峠⇒前橋駅(高速夜行バス乗車)

7/15(水)大阪着

参加者

安岡和子、前田守、大森朋江、保木道代、脇本勇二、上野あさみ ・・・ 計8名

7/11 9:45 夜行バス、東武鉄道、会津鉄道と乗り継ぎ、会津にやってきました、念願の野岩鉄道に乗れました

10:19 会津高原尾瀬口駅に着く、ここから再びバスに乗り継ぐ

13:00 御池登山口に到着、ここからスタート

御池登山口を出発、白いワタスゲがなびく上田代を行く

上田代付近で見かけた「サワラン」

同じく「トキソウ」

同じく「ヒオウギアヤメ」

燧裏林道、ブナ林の中、滑りやすい木道を歩く

沢にかかった綺麗な吊橋を渡る

雨に逢わず、やっと温泉小屋に到着した

新型コロナの影響で当初計画した会津駒ケ岳は小屋の予約が取れず、更に2日目宿泊予定の御池ロッジが今年は営業休止となるなど計画は大幅に変更となりました。
 7/11(土) 例年なら5月1日から運行の会津高原尾瀬口駅発沼山峠行きバス。今年は新型コロナの影響で7月1日から運行開始。御池で下車、13:00三条の滝を目指し登山口スタート。
 御池田代、姫田代、上田代、ノメリ田代、西田代と順調に通過していたが、西田代と天神田代の中間辺りの濡れた木道で大森がスリップ転倒、左手首を押さえたまま動かない。ザックを肩から抜こうとするも「痛い、痛い!」と訴え、ザックを外させない。ザックを担いだままでは後の処置ができないため痛みを我慢してもらってやっとザックを外す。左手首は膨れ、骨にひびが入ったか若しくは骨折と判断。リーダー持参の「応急ギブス君」(エアー利用の固定具)を使い応急処置。三角巾で首に掛け、腕が揺れないようにシュリンゲで体に固定。大森の荷物は他のメンバーで分担する。その後、本人と板谷SLが御池に戻り救急車手配、遠く会津若松市内の病院まで救急搬送、整形外科医師により骨折と診断され午後10時過ぎ処置完了。
 現場に残った6名は計画変更、三条の滝をカットし温泉小屋への最短ルートにコース変更。17:30温泉小屋到着。緊急連絡先の杉本へ事故発生を報告。

7/12 朝から雨、今日も滑りやすい木道を慎重に歩く

大きななめ滝、展望台から見た平滑ノ滝。

先日来の大雨で、豪快に落ちる三条の滝

尾瀬沼手前の池塘では、可憐で清楚なヒツジグサがさいていました。

滑る木道が終わって、やっと尾瀬沼に着いた。

尾瀬沼の大江湿原では、ニッコウキスゲが満開

尾瀬の看板の前で集合写真

7/12(日) 早朝、板谷SLから大森の状況報告を受ける。板谷も尾瀬には戻らず、大森に付き添って大阪に帰るとの報告を受けたため、後任のSLに前田を指名する。当初予定した燧ケ岳の見晴新道は梅雨の影響で泥濘が尋常ではない、膝近くまで沈み込むとの小屋従業員の助言を受け断念。燧ケ岳の代わりに昨日カットした「三条の滝」を目指すことにした。「三条の滝」は尾瀬ヶ原の水が集まる滝で「日本の三大名瀑」に挙げられるだけにその轟音と水量に圧倒される。三条の滝を終えて一旦温泉小屋に戻り、尾瀬沼ヒユッテへ向けて再出発。6軒の山小屋が集中する見晴まで木道が続き両側にはお花畑が広がる。今日は一変楽なコースとなったので、時間を気にせずワタスゲ、ノアザミ、ニッコウキスゲ等々の花をじっくり見たり、写真を撮ったりとゆったりとした足運びとなった。見晴から先もほぼ木道が続く。樹林帯の中の濡れた木道は滑りやすく、慎重に歩いていても何度もスリップ転倒する。樹林帯を抜けた湿原では右に尾瀬沼、左に燧ケ岳を見る。途中の池塘では未の刻(午後2時)頃に咲くという「ヒツジグサ」の花も見ることができました。尾瀬沼ヒュッテ直前の湿原はニッコウキスゲの黄、ヒオウギアヤメの紫、ワタスゲの白等時間を忘れる一時を過ごす。尾瀬沼ヒュッテ15:20到着。早すぎるので再度湿原に出かけ、尾瀬の自然保護に生涯を賭けた平野長蔵親子の墓を訪れる。平野長蔵・長英・長靖親子がいなければ、尾瀬沼には車道が通り、尾瀬ヶ原は高さ100mのダムの底に沈んでいました。

7/13 天気が良く、尾瀬沼ヒュッテの前で今日も元気にがんばるぞ。

大江湿原のニッコウキスゲと遠くに燧ケ岳が見える。

尾瀬沼からの燧ケ岳、尾瀬ヶ原から見るのと山の形が違う。

今日は天気が良いが、木道が濡れていて何回も滑って転んだ。

尾瀬と至仏山。人は少なく、静かでのんびりと歩いた。

池塘には逆さ燧ケ岳が写っていた。

人のいない木道がずーっと続く

今日は楽勝で元気に至仏山荘に着いた。

7/13(月) 今日は昨日のコースを逆に辿り見晴へ。その後尾瀬ヶ原を横断し山ノ鼻の至仏山莊を目指す楽な行程。今年の尾瀬は新型コロナの影響で入山者が極端に少ない。尾瀬ヶ原は木道を登山者が行列して歩いているイメージだが、今年は四方を見渡しても片手で数えられる人数。まったく人の存在を感じられない時もある。のんびり、ゆっくり花を愛で、周囲の景色を楽しむ至福の時を過ごしました。至仏山莊14時過ぎ到着。どの小屋でも体温チェックとマスク着用を求められる。食事の内容が1泊目より2泊目、2泊目より3泊目と良くなってきた。食事は対面ではなく壁に向かって摂る、新型コロナ対策スタイル。この至仏山莊は朝食後にコーヒーのサービス付。

7/14 朝から雨、カッパを着て出発した。

登山道は先日来の雨で、沢のようになってる所を登った。

滑りやすい蛇紋岩に足を取られながら登った。

振り返ると遠くに尾瀬ヶ原が箱庭の様に広がっていた

ガスって何も見えない至仏山頂。誰もいない静かな山頂。

蛇紋岩に足を滑らせながらも、無事鳩待峠に着いた。

例会GPS記録(ジオグラフィカ+カシミール3Dにて作成、記録:上野)

7/14(火) 今日は雨の一日。朝7時小屋出発、雨中の登山となる。至仏山は蛇紋岩で成り立っているとのことで滑りやすく、滑落事故防止のため山ノ鼻から至仏山にかけては登り一方通行、下り利用は禁止とされている山です。途中の坂道などは沢状態、水が流れ落ちている。至仏山頂に立つまではなんとか見えていた景色も、至仏山頂に立った時は完全にガスの中、まったく回りが見えない。しかし、足元のホソバヒナウスユキソウ(エーデルワイスと同種)やミツガシワなど多くの高山植物に心を癒されました。至仏山から小至仏山、悪沢岳分岐までは稜線西側は強風が吹き荒れていました。悪沢岳分岐からは風も収まり整備された木道を慎重に下る。14:40下山口の鳩待峠到着。

 今日は山ノ鼻出発から鳩待峠到着までまったく人に会わず。まるで至仏山貸し切り状態。天気が悪かったこともあるが、最も大きな要因は新型コロナであろう。今例会は最初から最後まで新型コロナに振り回された例会でした。当初は鳩待峠下山後東京経由で大阪へ帰る計画でしたが、東京に長時間滞在することの危険性を避けるため群馬県前橋回りで大阪に帰るルートに変更、また参加メンバーのひとりが骨折するという重大アクシデントもありました。そのことによって、新型コロナの影響で状況がひっ迫している現地の消防、医療機関に手間を掛けたこと申し訳なく思っています。

 しかし、通り過ぎた過去は覆せません。怪我をした大森さんを含め我々もマイナス思考でなく、得難い経験をしたというプラス思考で今後の登山を楽しみたいと思います。

記:野原 写真:前田、板谷